エリオット波動とは

エリオット波動とは、相場には「上昇5波動、下降3波」という規則性があるという考え方です。上昇5波動は1~5、下降3波動はA~Cとカウントします。
波動のカウント名称

1波、3波、5波、A波、C波のことを推進波と呼び、その推進波の調整的な動きとなる2波、4波、B波のことを修正波と呼びます。

フラクタル構造
相場の波動がフラクタル構造であるというのがエリオット波動の基礎的な考え方です。大きな波動の中には、小さな波動があり、その小さな波動の中には更に小さな波動があるということです。



推進波の形状
推進波の形状は、インパルスとダイアゴナルの2種類です。


インパルスの特徴
- 第2波は第1波の安値を超えない。
- 第3波が一番短い線にはなることはない。
- 第4波が第1波の高値を下抜けることはない。


ダイアゴナルの特徴
ダイアゴナルは、インパルスと違い第4波が第1波の高値を下抜けるのが特徴です。また、縮小型ダイアゴナルと拡大型ダイアゴナルの2つのパターンがあります。

ダイアゴナルの形状は、第1波と第5波、A波、C波には表れますが、第3波には表れないという特徴もあります。

修正波の形状
修正波の形状は、ジグザグ、フラット、トライアングルの3種類です。

修正波はその名の通り推進波の調整的な動きとなります。推進波と比べて複雑な動きになりやすく、修正波は5つの波動にならないケースもあります。上記の3パターン以外にも複合型と呼ばれるような3パターンを連結したような形状になることもあります。
エリオット波動のパターン例
エリオット波動のパターンの一例です。推進派に現れる形状は主にインパルスとダイアゴナルの2パターン、修正派に現れる形状は主にジグザグ、フラット、トライアングルの3パターンになります。

エリオット波動の具体例
金標準先物の週足チャートです。

上記のチャートをエリオット波動で見るとこのようになるとおもいます。



後付けのテクニカル分析?
エリオット波動には、エリオット波動信者と呼ばれるような熱心なトレーダーがいる反面、エリオット波動はインチキだという人も多いです。両極端のファンとアンチがいるというのもエリオット波動の特徴かもしれません。
エリオット波動の問題
- エリオット波動のパターンには派生パターンが多くあり、様々な派生パターンを使うことで都合の良いように後付けで説明できてしまう
- 現在進行形の波動のパターンを確定させることができない
- 同じ波動でも人によって解釈が変わる
2020年以降の波動の考察
2019年年末からの上昇が上昇5波であると考えた場合に考えられる波動パターンの一部です。
パターン1
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パターン1は、上昇5波がダイアゴナルで2020年5月19日6,133円が高値であったと想定するケースです。現在は下降A波に入ったところということになります。
パターン2
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パターン2は、上昇5波がインパルスで2020年2月25日5913円が高値であったと想定するケースです。現在はトライアングル型の修正局面中ということになります。
パターン3
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パターン3は、上昇5波がインパルスで継続中だと想定するケースです。この場合は上昇が続くことになります。

エリオット波動の使い方
エリオット波動は、ラルフ・ネルソン・エリオットにより考えられた分析方法ですが、その理論はダウ理論を基としています。エリオット波動はオカルトと言われることも多いですが、上昇5波、下降3波のそれぞれの波動は大衆心理からも動きを説明することができます。また、波動と波動の関係はフィボナッチ比率として現れることが多く、エリオット波動とフィボナッチを組み合わせることで予測の精度を高めることができます。
それぞれの波動の意味とフィボナッチの関係については、「エリオット波動その2」でご紹介したいとおもいます。