MACDとは「Moving Average Convergence Divergence」の略語です。Moving Averageは「移動平均線」、Convergence Divergenceは「収束と発散」という意味になります。
1970年代にジェラルド・アペル氏によって開発されたテクニカル分析になりますので、テクニカル分析の中では中堅どころという感じでしょうか。トレーダーには人気が高い分析方法です。
MACDは指数平滑(しすうへいかつ)移動平均線を利用しますので、まずは、単純移動平均線(SMA)と指数平滑移動平均線(EMA)の違いをご紹介したいとおもいます。
金日足チャート

同じ25日移動平均線ですが、単純移動平均線と指数平滑移動平均線では動きが少し異なります。
※ TradingViewでは「MA(移動平均)」が「SMA(単純移動平均)」になります。
SMAとEMAの違い
5日間のそれぞれの移動平均線の計算式


単純移動平均線(SMA)は該当期間の終値をすべて加算して該当日数で割ったもので、単純に平均しただけですので単純移動平均線と呼びます。
一方で、指数平滑移動平均線(EMA)は前日のEMAと当日の終値の平均になるのですが、当日の終値を2倍分加算することが特徴です。これにより直近の価格の影響が大きくなります。この直近の価格の割合を大きくすることを繰り返すことにより、指数平滑移動平均線は過去の価格の影響が徐々に小さくなり、直近の価格の影響が徐々に大きくなった移動平均線となります。
指数平滑平均のn日間の計算方法

この式を一つにまとめて通分する

このように上記の計算式になります。
計算方法はわからなくても意味だけ理解しておけば良いとおもいます。
MACDとは
MACDとは指数平滑移動平均線を利用してトレンドの転換を探ろうというテクニカル分析で、MACD、シグナル、ヒストグラムの3つの要素から構成されます。
白金日足MACD

MACD分析の3つの要素
- MACD = 短期EMA - 中期EMA
- シグナル = MACDのEMA
- ヒストグラム = MACD - シグナル
パラメーターは短期EMA(12)中期EMA(26)シグナル(9)を使うのが一般的です。
MACDの売買サイン①
MACDのみを使った分析方法
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MACDは(短期EMA-中期EMA)ですからMACDが0ラインを下に抜けた時はデッドクロス(売りサイン)、0ラインを上に抜けた時はゴールデンクロス(買いサイン)になります。これは2本の移動平均線を使った一般的なテクニカル分析と同じです。
ゴールデンクロスとデッドクロス

MACDの売買サイン②
MACDとシグナルを使った分析方法
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買いサイン:MACDがシグナルを上に抜ける
売りサイン:MACDがシグナルを下に抜ける
MACDとシグナルの2つのラインを利用した分析方法です。MACDが下から上へシグナルを抜けるのが「ゴールデンクロス」で買いサイン、MACDが上から下へシグナルを抜けるのが「デッドクロス」で売りのサインを意味します。
売買サイン②の方が売買サイン①よりも早めにサインが出ます。
また、MACDにはオシレーター系の指標の特徴もあります。MACDとシグナルが高いほど買われすぎ、安いほど売られすぎということを示しています。2つのラインが低い時にMACDがシグナルを上抜ける、高い時にMACDがシグナルを下抜ける方が売買サインとしては信用度が高くなります。
MACDの売買サイン③
ヒストグラムを使った分析方法
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売買サイン②が出るのはヒストグラムが0ラインになった時ですから、プラスから0ラインにヒストグラムが下げてくるのは売りサインが出る兆候となり、マイナスから0ラインにヒストグラムが上げてくるのは買いサインが出る兆候となります。
ヒストグラムは売買サイン②よりもさらに早めにトレンドの転換を見つけるためのテクニカル分析になります。
ただし、売買サインは早めに出れば出るほど、だましが多くなります。
売買サインは③→②→①の順番で出ることになります。
それぞれのサインを追いかけることで相場の全体の流れを把握しようというのがMACDになります。