新型肺炎の相場への影響について

新型コロナウィルスの影響で相場が動く状況が続いています。

2月1日時点
感染者数 中国国内 11,791人 他 158人
死者 中国国内 259人 他 なし

世界保健機関(WHO)は、中国以外の国々にも感染拡大の可能性があるとして「国際緊急事態」を宣言しました。

新型肺炎感染者数推移

VIX指数日足

新型肺炎におけるVIX指数変化

新型コロナウィルスが市場で意識され始めたのは24日あたりからです。中国国内の感染者数は830名、死亡者25名、日本国内の感染例は2名という状況でした。
(1月31日 終値:18.84)

こちらは東証一部上場企業の1月の月間騰落率ランキングです。

1月の月間騰落率(33業種別)

1不動産業(東証1)+2.81
2証券・商品先物取引(東証1)+2.29
3その他金融業(東証1)+1.03
4医薬品(東証1)+0.84
5精密機器(東証1)+0.4
   
 省略 
28ゴム製品(東証1)-5.72
29石油・石炭製品(東証1)-7.13
30空運業(東証1)-7.35
31非鉄金属(東証1)-8.87
32鉱業(東証1)-9.12
33海運業(東証1)-11.41

1月は金融と医療・ヘルスケアのセクターは好調でしたが、新型肺炎の悪影響を懸念して、陸、海、空の運輸関係のセクターが大幅に値を下げました。感染防止策の移動制限がダイレクトに業績に影響するという思惑からでしょう。
商品先物取引の分野でも、白金、パラジウム、ゴム、原油は、新型肺炎の影響をもっとも受ける金融商品の一つだとおもいます。日経平均やNYダウに新型肺炎の影響がない時でも、これらの銘柄だけに影響が出るということもあるのではないでしょうか。
商品先物取引で扱われている銘柄は、新型肺炎の影響を受けやすい商品であるということは意識しておきたいですね。

では実際の商品先物取引の銘柄の値動きを見ていきたいとおもいます。
まずは、最近注目を集めているパラジウムです。

パラジウムCFD4時間足チャート

パラジウムは新型コロナウィルスの影響で、中国景気が後退するのではないかということで調整局面となっております。中国は自動車触媒として使うパラジウムの最大消費国ですので、この調整は当然だと言えるとおもいます。ただ、直近の上げ幅の38.2%戻しのラインでしっかりサポートされています。これだけの悪材料にも関わらず38.2%しか下げないのは、本当に強いトレンドなんだなと改めて認識させられました。

パラジウムCFD週足チャート

トレンドの継続とともにボラティリティが拡大するという教科書どおりの動きをしているパラジウムですが、再び上昇トレンドを再開した場合には更にボラティリティが拡大することが予測されます。バンクオブアメリカセキュリティーズのリサーチノートでは今回の上昇トレンドで3,500ドルまで上昇する可能性があると分析しているそうです。確かに再上昇してボラティリティが高まれば、そのレベルまで行く可能性は十分にあるだろうなとおもいます。
個人的には先ほどの38.2%のラインを割り込むのかどうかということに注目しています。ここを割り込んで来れば本格的な調整が始まるのではないでしょうか。

次は白金を見てみたいとおもいます。

白金4時間足

年末からパラジウムに釣られる形で上昇していた白金ですが、こちらはパラジウムと違い23.6%38.2%50%のラインで一時的には反発はするものの、前回のラインを超えることはできずにズルズルと下げ続けています。金曜日の終値で3,349円ですから61.8%3,318円まで、あと30円ちょっとです。とりあえずここにはタッチしそうですね。
もし、このラインで持ちこたえられずに3,300円を割り込んでくるようだと3,100円付近まで来週中に行ってしまいそうです。

ただ個人的には61.8%のラインで強めに反発するのではないかと予想しています。

白金の予測

今回の下げの61.8%戻し(3520円)付近までの反発

新型肺炎を材料とした値動きはサブプライム問題の時とよく似ているなあと感じています。どの辺が似ているかと言えば、情報が少なすぎて専門家(医療関係者)の意見も真っ二つに割れている点です。
世界的なパンデミックになりスペイン風邪のように世界のGDPを2~3%引きさげるという人もいれば、新型肺炎は毒素が低く、健康な人は重症化しにくく、死亡に至るのは糖尿病や心不全や心臓病の持病のある人がほとんどで、健康な人は過度に心配する必要はないという人もいます。専門家ですら意見が分かれているのですから、我々のような素人に将来を予測することは難しいです。右往左往するしかないですよね。
(ゴールドマンサックスのアナリストですら「我々は医者ではないので新型肺炎がどうなるのかわからない」と言っています。)

しばらくは総楽観と総悲観が繰り返し訪れることになるとおもいます。その度に相場は過度に上げて、過度に下げることになります。
肺炎問題で白金は総悲観の状況になりつつありますが、何かのきっかけでそれが急に総楽観になるのかもしれません。そして、すぐにまた肺炎問題で新たな材料が出てきて総悲観になり暴落する。こんな極端な展開になると予想しています。通常の値動きとはちょっと違った動きを見せるのではないでしょうか。

2月3日より春節明けで中国市場が再開します。ポジションの持ちすぎにはご注意を!


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