金上昇の理由
東京金が上場来の最高値である2013年2月7日につけた5,081円を更新しました。米中貿易戦争やブリクジット問題による世界経済の先行き不透明感から安全資産とされる金を買われる動きが続いているためです。
また、FRBが利下げしたことにより、世界の中央銀行もそれに追随する動きとなっています。本日、NZ(ニュージーランド)とインド、タイの政策金利の発表があったのですが、いずれも予想外の利下げとなりました。
現状 | 予想 | 結果 | |
---|---|---|---|
NZ中央銀行 | 1.50% | 1.25% | 1.00% |
インド中央銀行 | 5.75% | 5.50% | 5.40% |
タイ中央銀行 | 1.75% | 1.75% | 1.50% |
これらの国の利下げが世界の金融市場に与える影響は非常に小さいのですが、3つの中央銀行が予想外の利下げを同じ日に行ったというのは、「世界的な利下げの流れ」を印象付けるものになりました。金は「金利を生まない」ということから金利の高い時には売られる傾向がありますが、逆に金利が低い時には買われる傾向があります。今は世界的にかつてない程の低金利時代ですから、金は買われやすい状況下にあります。(日銀の追加緩和が意識されて、円安がさらに国内の金価格上昇を後押しする可能性もあります。)
東京金月足チャート

金価格は、この10年近く4,000円~5,000円のレンジの中で動いていたわけですが、このレンジを明確に抜けて来たとなればトレンドに逆らわない方が良さそうです。長く続いたレンジほど突破した時のエネルギーは大きくなります。今のところ新値を数円上抜けただけですから「鬼より怖い一文新値」でこの高値が二番天井になる可能性もありますが、本格的な踏み上げが始まった場合にはうまく相場の流れに乗りたいですね。逆に売りで捕まっている方は、資金の続く限り我慢するという戦法では先に資金が底をついてしまうかもしれませんので注意が必要です。
上昇相場が続いて新高値が近付いてくると新高値を取ることが目標になってしまうことで、少し抜いた後に利益確定の売りも出やすくなります。今回の場合は、国内価格の5,081円、海外価格の1,500ドルが目標となっていましたので、これを達成したことにより利確の売りが出やすくなります。また反転して下げになった場合は、新高値ブレイクで買ってきた投資家の撤退も加わって大きな下落につながります。